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筋膜性疼痛に対するアプローチ方法の1つを紹介!ハイドロリリース注射

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筋膜性疼痛とは?

筋・筋膜性痛症候群(MPS)は、筋硬結およびトリガーポイント(TP)を特徴とした痛みをきたす症候群であり、肩凝りや腰痛など、通常の血液検査や画像診断では異常がみられない非特異的な痛みの原因として考えられている。
MPSの発生機序は、筋肉に対する負荷や傷害により筋肉内での微小損傷が生じることで組織内に発痛物質が発生し、痛みが惹起されると推測されている。また、鉄欠乏や甲状腺機能低下、ビタミンDやB不足なども要因といわれている。しかし、その実態や成因、および痛覚過敏のメカニズムなどは未だ明らかではない。確定診断のための検査はないため、診断には診察所見が重要となり、他の疾患を鑑別・除外する必要がある。

症状

肩凝りや腰痛などの凝りの症状がみられることが多い。また、自発痛のみならず、TPへの刺激が関連痛を引き起こすことや、可動性制限や筋力低下をきたすこともある。

治療法

神経ブロックによる治療法
トリガーポイント注射が主に用いられる。近年、超音波画像による筋膜周囲組織の重積所見が痛みに関与していると示唆されており、局所麻酔薬や生理食塩水を用いて剥離を行うことで鎮痛効果を発揮する可能性がある。

→oli自身も2023/10に効果を示した筋膜リリース注射のこと

その他に考えうる治療法は、慢性疼痛の治療に重要なポイントそのものである。
薬物療法ではNSAIDsが用いられることが多く、その他は筋弛緩薬・抗不安薬・三環系抗うつ薬などの有効性が示されている。運動療法やストレッチングなどの理学療法をできるだけ早期から行うことも重要である。慢性疼痛に移行した場合は認知行動療法などが必要となる場合もある。

参考・引用:第Ⅳ章 各疾患・痛みに対するペインクリニック指針[日本ペインクリニック学会]

https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-13.pdf

筋膜リリース=ハイドロリリース注射に迫る!

手技

エコーガイド下Fasciaハイドロリリース(fasciaに対するエコーガイド下ハイドロリリース)とは、超音波診断装置(エコー)を用いて、fasciaを生理食塩水等の薬液でリリースする。(剥離separation+弛緩relaxation:エコー画像上では“白く厚い帯状のfascia”をバラバラにするように薬液を注入

鎮痛効果に加えてfasciaの柔軟性(伸張性・滑走性)の改善を期待する手技とされている。(一般社団法人 日本整形内科学研究会ホームページより抜粋)

痛み止めや麻酔液などを注射する局所注射(ブロック注射)は、注入する薬液の作用のみで痛みの改善を目指す。
一方ハイドロリリースは、微量の麻酔薬を含む生理食塩水の注入によって、筋膜・神経の癒着を剥がし、痛みの改善を目指すもの。「筋膜・神経の癒着を剥がし」という工程が挟まれることは、根本的な問題にアプローチしているということであり、麻酔の効果が切れてからも、痛み・しびれを抑える効果がより長持ちしやすい。また、麻酔液が少量であるため、副作用のリスクも少ない。

ブロック注射が“その場しのぎの治療”というわけではありません。痛みを取り除くことで自律神経の失調を改善したり、身体を動かし血流が改善されることで、痛みの悪循環を断ち切る効果が期待できます。疾患や障害、癒着の程度などに応じて、医師は適切に使い分けています。

腰痛だから効果があるわけではない

例えば、腰痛の原因にも色々なものがあります。
椎間板性腰痛、椎間関節性腰痛、腰椎椎間板ヘルニアなどによる神経障害性疼痛、仙腸関節障害、筋膜性疼痛など。このような腰痛の原因となる異常を問診、身体所見、画像所見などから見極めて、その上でMPSが絡んでいると判断できた場合にはハイドロリリースが有効といわれています。

適応となる症状や疾患

肩こり
頚部痛、寝違え、むちうち
背部痛
腰痛、ぎっくり腰
肘部管症候群
手根管症候群
梨状筋症候群
術後創部癒着
筋筋膜性腰痛
外傷後の後遺症
など

oliの体験から分かる情報

203/10/19 大学病院受診時に施術。筋硬結・圧痛(生活に影響を及ぼす激痛部位)を見つけて、その部位にハイドロリリースを施行することに対してようやく効果が感じられた。トリガーポイント注射では全く効果を得られなかった背部痛。蓄積した筋緊張や肋間筋の硬化を筆頭に、より深い部分で頑固な疼痛に対しては有効性があるのではないだろうか。

2023年8月以降の上半身の状態

2023年9月のトリガーポイント注射のみ

2023年10月ハイドロリリース注射+トリガーポイント注射の合わせ技

エコー下で行うからこそ良い

分かりづらいかもしれませんがイメージを掴めれば。

ハイドロリリースまとめ

ハイドロリリースというのは、液体を筋肉や筋膜、神経周囲などに注入して痛みの原因となっている筋肉、筋膜、神経を治療する方法の総称。痛みなどの症状の原因となっている筋膜や神経の癒着を剥がすことを目的に行う。局所麻酔薬が含まれた生理食塩水を注射する。局所注射の場合は薬剤の効果がなくなれば症状が再び戻るが、ハイドロリリースでは原因になっている癒着が解消できるため、改善効果が比較的長続きすることが期待されている。

筋肉のしこりを正しく触診し、本当に痛みの原因となっている場所を見抜いて液体を注入(ハイドロリリース)すると、これまで痛み止めや手術でも取れなかった痛みがその場で和らいでしまう。

大切なのは、患者の疼痛の原因がどこにあるのかを確実に診断する能力

あくまでも患者さん自身が運動療法により成功体験を積み重ねて自分で疼痛を除去する方法を学んでいくことが望ましい。医師にとって、注射をすることにより患者がそれに頼りきってしまうのではないか、注射だけやってリハビリを行わず原因が放置されたまま注射に頼ってしまうのではないかという懸念はあると思う。

あくまでもリハビリ(運動療法)が主体で、どうしても苦しい状況では奥の手としてハイドロリリースやトリガーポイント注射がある。そのような望ましい状態を念頭に置き、動くことや動かすことを地道に頑張っていこうと思う。


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この記事を書いた人

oliのアバター oli クリエイター

心動く瞬間を伝えるライター・デザイナー
疼痛勉強家
CRPS(複合性局所疼痛症候群)にて闘病中
暮らしのあれこれや闘病記録を残しています

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